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■Q.日本語教員養成課程の履修を考えていますが就職に役立ちますか?

新学期にあたり、日本語教員養成課程を履修すべきか悩んでいます。留学生などに日本語を教える仕事に興味を持っているのですが、日本語学校は安定していない職場だと聞いたこともあります。日本語教員養成課程を履修することは就職に役立つでしょうか?

■A.これからは「企業のダイバーシティ推進としての日本語専攻(=日本語教員養成課程)の学生が『社内日本語教師』になる時代が来るかもしれません」ビジネスの視点で日本語教員養成課程履修を考えてみては?

確かに日本語教師という仕事は日本の外国人受け入れ政策や日本語学校の経営状態に左右される面が大きく雇用が安定していないということはありますね。
一方で、長期的な視野で考えると、企業のダイバーシティ取組として日本語専攻学生(本学の場合は日本語教員養成課程履修者)の学業成果を評価し、「企業内日本語教師」として採用?育成し、組織の競争力強化に繋げる企業が出てくるのではないかなと思います。
具体的なイメージは日本語専攻学生を採用後、他の社員と同様に一定期間社員教育を実施、その後特定の部署に配属させつつ、特定の日時に「企業内日本語教師」として外国人社員に日本語授業を行うようなイメージです。また日本語教育の有資格者を社内副業として許可することも考えられるかもしれません。

日本語専攻の学生は従来、国内外の日本語学校で非常勤講師からスタートし、教鞭を取るというのが新卒時の一般的な進路でした。
それ以外の場合、大学院に進学するか専攻を直接活かすことなく民間企業へ就職するのが主な進路となっていました?
近年の日本語教員の雇用環境は2009年5月に10万人であった日本語学校を含む外国人留学生数は2019年5月時点で29万8千人に増加、日本語教育機関の増加もあり、日本語教員の雇用機会自体は増加しています。一方日本語教育機関の一部は組織デザインが十分でなく、また非正規(非常勤)の教員が多い学校もあり、雇用機会は増えているものの待遇面では課題が残っていると言えます。

一方、日本企業は高度外国人人材の受入に加え、昨年の「特定技能」による受入開始により社員のグローバル化が進んでいます。これに伴い社内コミュニケーションについて課題を持っている人事担当者も多いはずです。従来のアプローチはダイバーシティ化の対策として社内公用語を英語にする、外国人社員の日本語習得の為に学校に通わせるなどの取組を行っているかと思いますが企業のビジネスモデルの特徴(サービス業の就労時間など)により社員を日本語学校に通学させるより、社内に「企業内日本語教師」というポジションを新たに設置することが人材育成の点から効果的ではないかと思います。

日本語専攻学生にとっても非常勤としての雇用環境から企業での雇用が進むことによりいわゆる「稼げる資格」に変化することが考えられます。加えて日本語教師の国家資格化が待遇改善の流れに良い影響を与えることが考えられます。

と考えるとビジネスパーソンとして働くと同時に社内のダイバーシティを円滑に進める社員として日本語を教えるスキルを持つ社員が必要となるかもしれませんね。このような視点からビジネスパーソンの資格の一つとして履修について考えてみてもよいかもしれません。

【まとめ】
現在と将来の環境変化(今回の場合は日本の労働環境の変化)を考えた上で資格の取得について考えてみるのも一つのポイントです。『好き、興味がある』という軸から『将来必要となる資格か?』という軸からも考えてみましょう。

2021年4月5日
キャリア教育センター 杉本雅視